花火
昨日まではあれほど憂鬱に感じていた仕事が、今は助け舟となっていった。仕事に集中している間は、様々な感情に背を向けていられた。連休モードの抜け切れない周りの社員達は、我先にと定時であがっていった。そんな中一人だけ、黙々と仕事をこなした。気を張り続けると、ある一瞬を境にプツリとその緊張は切れた。それを合図に会社を後にする。そんな調子の三日間を過ごした。
土日の連休を目の前にして、何の予定もないまま一人で過ごす金曜の夜は、敗北感に満ちていた。誰もが待ち望み、有意義に過ごそうと考える休日に、自分は何をすればいいのかと思うと、気が滅入った。世界で自分だけが休みを、ありあまる時間を呪っている様に思った。
こんな気持ちでいてもしょうがない、後一週間の辛抱だ。明日は久しぶりに一人で買い物にでも行こう。思えば夏のボーナスにも一切手をつけていない、パーっと好きな物でも買って、気分転換といこうじゃないか。どこまでが本心なのか、どこからが強がりなのかも分からないまま、明日への予定を組んだ。
 
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