花火
もういい?そう聞かれ、ありがとうございました、などと答えた様な気がした。八月最後の土曜日、誕生日じゃないか。二人で二十三回目のその日を祝おうと、約束していた日ではないか。引っ越しは、当日や前日に決めることではない。夜逃げでももっと前から計画するだろう。はなから会う気なんてなかったんだ。そうか、そうだったのか。
肩を落とし、脱力したままエレベーターのボタンを押した。世の中には、知らない方がいいことがあるのかもしれない、解き明かされない謎があった方がいいのかもしれない。人はそういった物に、決して触れてはならないのか、それに触れた者は、痛い目を見るだけなのか。決して開けてはならないと言われた箱を、開けてしまったパンドラの様に。
肩を落とし、脱力したままエレベーターのボタンを押した。世の中には、知らない方がいいことがあるのかもしれない、解き明かされない謎があった方がいいのかもしれない。人はそういった物に、決して触れてはならないのか、それに触れた者は、痛い目を見るだけなのか。決して開けてはならないと言われた箱を、開けてしまったパンドラの様に。