花火
マンションを出ると、春香が住んでいた部屋を見つめ、暫く立ちすくんでいた。自分はなぜこんなところにいるのだろう、何でこんなことになってしまったのだろう、なぜ?なんで?なぜ?なんで?答えが欲しかった。そもそもその答えを求めに来たのに、更なる迷宮に足を踏み入れる結果になってしまった。おもむろに携帯電話を取り出すと、リダイヤルボタンを押した。居場所も分からない相手と、唯一接点を結ぶことができるとすれば、こいつに頼るしかなかった。だが、一途の望みも断ち切るかの様に、単調な機械音が流れてくるだけだった。
< 214 / 427 >

この作品をシェア

pagetop