花火

ピンポーン、ひどく間の抜けた音が響き、五秒たち十秒たち三十秒が過ぎた。待っている間、緊張をほぐすために数えていたので間違いない。だが何の反応もない。もう一度チャイムを鳴した。ピンポーン、人の気も知らず、間抜けな音が再び響いた。すると、古びたガラス戸が静かに開いた。
「どなたですか？」
出てきたのは、五十代半ばの恰幅のいい女性だった。セールスか勧誘か、はたまた詐欺師ではないか、目には警戒心が剥き出しにされていた。