花火
急いで買い物を済ませ、ロフトの出口を出た時に、声をかけられた。さっきの人だ。土曜の人で賑わう街で再び出会うなんて、そういう偶然もあるのだな。丁度彼も帰るとこだと言うので、一緒に駅までの道を歩いた。助けてもらった恩もあるし、無下に断ることも出来なかった。
会話の流れで、彼は映画を見に来たのだと言った。それは私も一部二部と見ていた三部作の映画だった。それだけでなぜか急に、親近感を感じた。
五分かそこら歩きながら話していると、あっという間に駅に着いた。そこで連絡先を聞かれ、メールアドレスだけならいいと思ったのは、助けられたからでもなく、同じ映画を見ていたからでもなく、どこか魅力的な男性だったからだ。
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