花火
翌日朝八時に起こされると、診察の始まる十時には隣駅の市立病院に到着した。恥ずかしいからどちらかにして、そう言ったのだが、両親は揃って着いてきた。受付を済ませると、広いロビーに均等に並べられた背もたれのないソファーに、両親に挟まれる形で腰をおろした。町の診療所とは違い、沢山の人が診察の順番を待っていた。その誰もが、自らの体に問題を抱えていた。そして私の体の中にも、病魔が潜んでいた。
ロビー全体に響くスピーカーが、吉田春香の名前を告げたのは、受付を済ませてから一時間近く経過した頃だった。診察室に向かう背中を、四つの瞳が祈る様に見送った。
ロビー全体に響くスピーカーが、吉田春香の名前を告げたのは、受付を済ませてから一時間近く経過した頃だった。診察室に向かう背中を、四つの瞳が祈る様に見送った。