花火
『ビール一本を飲んだだけだよ。分かったんだよ。誤魔化すことは出来る、でもそれは結局逃げることなんだって。逃げたらいつか絶対に後悔するって。それは俺だけじゃない。春香ももう分かってるだろ?八月の始めから今日まで誤魔化して、逃げてきて、その結果が今だって。立ち向かう先に奇跡はなくとも、そこには悔いもない』
煙草に火を点け、虚空に向かい深く息を吐いた。少なくとも今は、悔いがないと信じたかった。
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