花火
けたたましい目覚まし時計の音で目覚めると、そこには日常から一歩足を踏み外した月曜の朝が待っていた。気だるい声で会社に電話をし、ゆっくりと歯を磨き、髭を剃り、顔を洗った。食パンとコーヒーで軽い食事をとると、「行くか」と自分に問いかけながら靴を履いた。
電車に揺られながら、どこの駅で下りようか考えた。特にここという宛てもないままに、総武線の千葉行きの電車に乗り込んでいた。自動ドアの上部に張り付けられた、路線図を眺めながら考えた。理想としては職場のある新橋と、春香の住む袖ヶ浦の、どちらも一時間以内に行ける駅だ。路線図上で目ぼしい駅を見つけると、携帯電話を使い新橋と袖ヶ浦までの所要時間を調べていった。
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