花火
目覚ましの鳴る三分前に目を覚ました。体は疲れと睡眠不足で重かったが、習慣とはこういうものだ。あれから三時間程眠ったのか。本当に会社をサボっていいのか?今から準備を始めれば、いつも通りの時間に家を出て、いつもの電車に飛び乗れる。そして少し重い体を引きずってでも、何とか仕事はこなせるだろう。いつもの一日を頭の中でシュミレーションしてみた。そしてお昼は何を食べようかと悩んだ時点で、頭を小さく振った。今日は休みを取ってでも行くべきところがある。そこへ行くことを先延ばしにしてしまったら、二度とその場所に足を伸ばそうと思わないかもしれない。会社には九時前に連絡を入れればいいだろう。目的の場所に向かうにも、まだ時間は早すぎた。九時五分前に目覚ましをセットし直し、再び眠りの世界へと足を踏み入れた。
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