花火

いつまでも

夕版を食べて行かないか、せめて春香が目覚めるまでいてくれないか、そう頼まれたが、まだ引っ越しの後片付けも残っているし、今日はこれで十分です、そう断った。ならば駅までは車で送らせて欲しいと言われ、その言葉には甘えさせてもらうことにした。
「久しぶりにあんな安らかな寝顔を見ました。正直君を見るまでは、どんな奴が春香と付き合っていたのか、内心ヒヤヒヤしていました。だから君の瞳を見た時は少し安心しました。そして、少し嫉妬もしました。親心も複雑でしょう」
真っ直ぐ前方を見つめながら、少し照れ臭そうに続けた。
「だが、今日の春香のあんな寝顔を見せられては、認めるしかないですね。拓哉君には何と礼を言ったらいいのか。春香のために、ありがとう」
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