花火
お互いが全く別々の時間を歩んでいたとしても、時間は平等に流れ、金曜日の七時を目の前に迎えた。月曜からの頑張りが功を奏し、定時にはあがれそうだ。九時前には袖ヶ浦に着けるだろう。いざ一週間ぶりに春香に会えると思うと、不思議と病気のことなど忘れていた。時計の針が七時を指し、会社を飛び出ると、小走りで駅に向かった。
袖ヶ浦の駅に着いたのは、予想通り九時前だった。電車に飛び乗ると、到着時間を春香に伝えて置いたので、改札を出るとすでに迎えの車はやってきていた。
「すみません、こんな時間に」
助手席のドアを閉じると、急に目の前が暗闇に包まれた。
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