花火
篠崎駅に着いたのは、十二時を少し周った頃だった。駅に隣接したスーパーに立ち寄り、軽い食事とつまみになる様な、乾物系のイカや柿の種を購入し、河川敷へと向かった。
時間がまだ早いからだろうか、河川敷に向かう道は比較的空いていた。それでもすでに道端にシートを広げ、酒盛りの始まっているグループがちらほらと目に着いた。年に一度のイベントに、町全体が浮足立っている様に感じるが、その雰囲気に一人馴染めずにいた。きっと彼等の様に飲み出してしまえば、この空気の一部として溶け込めるだろう。
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