花火
道が空いていたこともあり、十五分程で河川敷に着いた。河川敷に近づくにつれ、人込みは増えてはいたが、これなら余裕で去年と同じ場所が取れるだろう。だが、その考えは甘かった。流石というべきか、河川敷はすでに何万という人々で埋め尽くされていた。それでも所々に緑の大地が見え隠れしていた。そして幸いにも、去年と同じ場所はまだ空席だった。早速その場にシートを敷き陣取った。
時計の針は一時を少し周った頃で、花火が始まるまでには、まだ六時間程の時間があった。これが場所取りを任された者の辛さだ。だがそんな役目も悪いことばかりではない、この青空の下、真昼から堂々とビールを飲める。こんな贅沢が出来るのは、正月とドイツくらいだろう。クーラーボックスから一本缶ビールを取り出し、どこまでも続く青空に向け乾杯をした。
それぞれの思いを胸に、その時をまだかまだかと待ち侘びる人々を眺めながら、一本目のビールを飲み干した。暇つぶしのために持ってきた小説を取り出し、二本目のブルタブを引いた。学生時代から愛読している、村上春樹の海辺のカフカを読みながら、その世界へと一歩一歩足を踏み入れて行った。思えばこんなゆっくりと本を読むのは何年振りだろう。未熟とはいえ、社会人となってからは初めてだな。
時計の針は一時を少し周った頃で、花火が始まるまでには、まだ六時間程の時間があった。これが場所取りを任された者の辛さだ。だがそんな役目も悪いことばかりではない、この青空の下、真昼から堂々とビールを飲める。こんな贅沢が出来るのは、正月とドイツくらいだろう。クーラーボックスから一本缶ビールを取り出し、どこまでも続く青空に向け乾杯をした。
それぞれの思いを胸に、その時をまだかまだかと待ち侘びる人々を眺めながら、一本目のビールを飲み干した。暇つぶしのために持ってきた小説を取り出し、二本目のブルタブを引いた。学生時代から愛読している、村上春樹の海辺のカフカを読みながら、その世界へと一歩一歩足を踏み入れて行った。思えばこんなゆっくりと本を読むのは何年振りだろう。未熟とはいえ、社会人となってからは初めてだな。