花火

あれから一か月経つが、その姿を見誤ることばなかった。白いワンピースに、少しヒールのあるサンダル、手には葦で作られた籠を持つ春香を見つけた。
「久しぶり。待たせちゃった？」
一か月ぶりに見る彼女の姿は、記憶の中のそれより若干痩せていた。
「久しぶり。早く来すぎちゃって、半には着いてたんだ。だから早く来てくれてよかった」
一気にまくしたてる彼女、流石に緊張していたのだろう。早く着過ぎたことからも窺えた。
「そんな早く着いてたんだ？言ってくれればもう少し急いだのに。あっ、その籠持つよ」
そう言って籠を手にしようとしたのは、単なる優しさのアピールではない。彼女の細い腕と、その大きな籠が、あまりに不釣り合いだったからだ。
「ありがとう。でも平気。大きさの割には重くないから」
片手でヒョィツと持ち上げて見せた。