花火
「そこをもっとずっと、ずーっと行った場所にね、私が生まれた町があるんだ。ここからじゃ見えないけどね。生まれてから東京に出て来るまでの間、この東京湾を眺めて育ったんだ。よくこうやって夕日も見たな。だから私が海に行きたいって言った時に、たっくんが東京湾に面したお台場を選んでくれた時は、嬉しかったな」
春香の瞳には、その故郷の景色が写っていたのだろう、懐かしそうな目をしていた。どんな町だったの?
「千葉県木更津市、袖ケ浦駅っていう小さな駅の近くの町で、駅の周りも田んぼと畑しかない様な田舎町。もちろん私の実家の周りも同じ様な感じなんだけど、すぐ近くに船溜まりがあってね、暇さえあればこんな風に海を眺めてたな」
フナダマリ?海なし県で育ったため、聞きなれない言葉だった。
「船を止めて置く場所のこと」
ずっと海の近くで暮していた春香は、そんなことも知らないの?と言った顔で教えてくれた。たぶん小さな漁港みたいなものだろう。
春香の瞳には、その故郷の景色が写っていたのだろう、懐かしそうな目をしていた。どんな町だったの?
「千葉県木更津市、袖ケ浦駅っていう小さな駅の近くの町で、駅の周りも田んぼと畑しかない様な田舎町。もちろん私の実家の周りも同じ様な感じなんだけど、すぐ近くに船溜まりがあってね、暇さえあればこんな風に海を眺めてたな」
フナダマリ?海なし県で育ったため、聞きなれない言葉だった。
「船を止めて置く場所のこと」
ずっと海の近くで暮していた春香は、そんなことも知らないの?と言った顔で教えてくれた。たぶん小さな漁港みたいなものだろう。