花火

アナウンスと共に華麗なＢＧＭが流れ、それを合図に轟音が鳴り響いた。目玉の一つでもある、一分間に千発という数の打ち上げ花火が夜空に花を咲かせ、花火大会の始まりを告げた。一斉に打ち上げられた花火は、一瞬にして夜空を色とりどりに染めていった。視界を埋め尽くす光の粒子に、四方から様々な歓声や、拍手が湧き上がた。だが、そんなことにはお構いなしで、口を半開きのまま見入ってしまった。
「こんな至近距離で見るのは初めてだよ。すごい迫力だね」
花火は二人の目の前、三百メートルから五百メートルといったところで、打ち上げられていた。
「でしょ。凄いでしょ？でもこれは始まりだからね。これからフィナーレに向けて、どんどん加速していくんだから」
まるで自分のことであるかのように、自信満々な表情を浮かべていた。