花火
そんな他愛のない言葉を交わしている内に、フィナーレを告げるアナウンスが流れた。お互いなぜか姿勢を正し、いや、会場中が姿勢を正したような気がした。幾つかの単発の花火が上がり、BGMと共にボルテージを上げていった。いくつかのスターマインを繰り返し、音楽も最高潮を迎えた。そしてフィナーレを飾るのは空中ナイアガラ。一瞬の沈黙を迎えたと思うと、次には凄まじいまでの轟音が鳴り響いた。豪快な爆発音と共に視界の全て、空の全てを埋め尽くす程の光の粒子が弾け飛び、雪のようにゆっくりと落ちていく。そして、音もなく夜空に吸い込まれていった。五秒間くらいの出来事だっただろう、だが目の裏にはいつまでも降り注ぐ光の粒が舞っていた。