神威異伝



少し躊躇いつつも、十夜は日向に尋ねた。


「じゃあ、理緒は……その火事のあった日から火を見ると、あんな風になるようになったんだな?」


日向は顔を上げ、首を縦に振った。


「あぁ。……理緒は火事のあった日から三日の間、ずっと…あんな風だったんだ。いつもの理緒に戻ったかと思うと、火事あったの日の事をすっかり忘れてて……」


十夜は目を見開いた。


「忘れててた…?嘘だろ……っ、さっき喋ってたじゃねぇか!!」
「理緒はあの状態の時でしか、火事のあった日の事……憶えてないみたいなんだ」


日向は力なく呟いた。

その日向の姿を見て……十夜はそれが真実なのだと、確信した。


「村長は、親を亡くした衝撃と悲しさから心に傷を負ったのが原因だろう……と言ってたよ」


そう言って、日向は再びうつ向いた。

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