神威異伝
日向は更に言った。
「それに、あの状態になってる間の記憶も理緒自身にはないんだ。だから……今日の事は、理緒に言わないでくれ」
頷く事もなく、十夜が鍋を見たまま呟いた。
「火が見れないから、か……」
「十夜?」
日向が声をかけると、十夜が口を開く。
「大爺の所に住んでた時も、今も日向が飯作んのは……全部、理緒の為だったんだな」
「…………あぁ」
焚き火に視線を向け、日向が言う。
「理緒があの状態になるのは、理緒が一人で火を見た時だけなんだ。側に誰か一人でも居たら、大丈夫らしい……火は怖いままなんだけどな」