神威異伝



三人で昨日の残りの鹿肉の鍋を食べていた時、不意に理緒が口を開いた。


「ねぇ……あたし、昨日すぐ寝ちゃった?」
「ん、あー……そうだなぁ」


十夜が曖昧な返事をすると、理緒が小さく唸った。


「昨日……日向が狩りに行った後ぐらいから、今日起きるぐらいまでかな、何も憶えてないの」
「俺が狩りから戻って来た時……」


日向が箸を止め、口を挟んだ。


「理緒はもう寝てたよ。多分、山歩きで疲れてたんだろう」


あらかじめ考えていたのであろう理緒への〈嘘〉を、日向は淀みなく言った。

日向が十夜に話をふる。


「確か、薪を拾って十夜が火を起こしてる間に寝てたって……そうだったんだろ?十夜」
「あ、あぁ」


十夜も日向に話を合わせ、頷く。

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