恋愛スキル


がら空きのベッドに何とか横になると、俺の身体は熱とダルさで思うように動かせず、


いつの間にか瞼が閉じて、まるで暗闇に一人呑み込まれたような……

そんな感覚になった。



松浦はどうしているだろう……?


きっと今も、俺が来るのを待っているはずだ。


彼女を守る――――


そう誓った筈なのに。



俺は、こんな所で何をしているんだ。



早く―――


行かなくちゃ―――。



「ちょっと郁斗!何処に行くつもり!?そんな状態じゃ無理よ!」


淘子はそう言うと、俺の身体を無理やり押さえ込んだ。


普段の俺なら女の淘子の力なんて屁でもない。

だけど、この時の俺は酷く弱っていて、どんなに"動け!!"と命令しても、自分の身体すらろくに動かす事が出来ない。


「松浦……」


それでも上半身を起き上がらせ、ベッドから出ようと脚を出す。



ガバッ。





ふと……


淘子のウェーブがかった髪が俺の頬をくすぐった。


あの甘い匂いが……


俺を包む……。



「悪いけど……今日は一人で帰ってくれ……」




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