着せ替え人形


「他にも専属モデルがたくさんいて、女性には困ってないはずですよ?」


ずっと気になっていたことを聞いてみた。
他の人にもあたしにしたみたいに優しく抱くのだろうか。


「ああ…その件ね。
実は、奈津子以外のモデルの子はみんな本職で、しかも専属なんかじゃないんだよ。

初めての撮影のときあんなこと言ったけど、あれ…嘘なんだ」



「…は?」


言ってることを理解するまでに少し時間がかかった。

ここまで来て何を言いだすんだ。


もっとくわしく聞かないと納得できない。


「今まで黙ってたことは謝るよ…」


「謝罪の言葉はいいんで、中で詳しく教えていただけますか?
散らかってますけど、気にしないでくださいね」


「え、ちょっと…」


一ノ瀬さんの手を無理やり引っ張って部屋の中に連れ込んだ。


…さて、何から話してもらおうか。


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