△の○
ミユキっていうのは、俺が二ヶ月前に別れた彼女だった。
可愛いというよりは美人という感じの子で、ちょっとプライドが高い子だったけど、
頭のいいところが俺は結構気に入っていた。
半年間付き合って特別問題もなく順調にやっていたから、
俺が別れを切り出した時彼女はひどく驚いていた。
「何で!?」とそりゃ最初は彼女も当然言ったけれど、プライドが邪魔をしたのか、頑なに口を閉ざす俺に対して別れる理由をしつこくきいてきたりはしなかった。
潔く別れるのが最後の意地だった、のかもしれない。
そんな彼女に申し訳ないと思いつつ、俺の別れる理由というのはもちろんナオのことだったから、どうしても正直には言えなかった。
「他に好きな子ができた」と中途半端に言って詮索されるのも怖かったのだ。
だから、お互い多くを語らないまま別れた。
結局、俺は彼女の精一杯の強がりに甘えて、ずるい自分を隠したのだ。
本当に最悪だ。
今皆森に言われて思い出しただけでも気分が憂鬱になった。
でも俺が今日思い悩んでいたのはそのことじゃなかった。
どうしても気になっていたのは、アヤちゃんのことだった。