幼なじみは先生


まだほのかにいっくんの香りが残っているジャケット。


瞳が涙で零れ落ちそうになる


あたしは片手で瞳の涙を拭いた


泣いてたって何も変わらない。

いっくん、あたし。

変わってみせるよ

だから、だから。

いっくんも幸せになってね


あたしはベッドに座り、携帯を開いた


電話帳の履歴に登録されているいっくんの電話番号とメールアドレス


消去ボタンを押さなくちゃ…

震える親指。

それから何時間も苦戦した

いっくんのアドレスを消去しなくてはと。

けど、どうしたって消せなかった

パタンと携帯を閉じる

いっくん、いっくん。

あたしはあなたを思い出にもなにも出来ない


思い出になんかしたくない。


結局、消せなかったいっくんのアドレス


あたしは深い眠りについた
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