幼なじみは先生


『いーから乗れ、変質者に捕まっても知らねーぞ?』


「…しょうがないから、乗る」


ほら、最初からこうすれば良かったのに


だって…気まずいんだもん。

車内はいっくんの匂いで溢れている

その一方であたしは振られた時のことが頭のなかで駆け巡っていた

そっか。振られたんだ…よね

やっぱり乗らずに走って帰れば良かったかも

なんて後悔してみる

けど今この車に乗ってることは事実。

嫌なら普通乗ったりしないで走って帰ったはずだ
でもこれが本当のあたしの答え

まだいっくんを好きだから恋しいから少しでも近づきたくて触れたくてあたしは車に乗ったんだ

自分からあたしはいっくんの車に飛び込んだのだ
ねえ…いっくん

チラッと彼を見てまた視線をそらす

あたしがまだ貴方が好きなの知ってて車に乗せてくれたの?

それともやっぱり危ないから?

こんなことされたら忘れたいのに忘れるられなくなっちゃうよ…いっくん
好き。



『今日はゆっくり寝ろよ。おやすみ』

そう言って彼は車に乗ったまま隣の家へと帰った
何がゆっくり寝ろよだ

あたしはもう"子供"じゃないんだよ

もう立派な"女"なんだから…
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