放浪者の恋-single planet-
3.出逢う

彼が、わたしに触れる指のことを思う。

じっとわたしのことを見つめる少年じみた目を思いだす。
(でも、はっきりいって、《オッサン》の年だ。)

はじめて彼の家へ泊まったときのこと。

あまりにも相性がよくて、夢中で数回交わったセックスのあと、外が明るくなるまでいろんな話をした。

すきな音楽や映画のこと、本のこと。

彼や私ががどんな仕事をしてきたか。

はじめて出会ったときの思い出話。

世の中の、スピリチュアルな話、ふしぎなできごと。

まるで宇宙にふたりきりでいるように、その部屋のなかではその部屋のなかでだけの時間がながれ、一日3時間睡眠の3日ぐらいがあっと言う間にすぎて、気づくとわたしはすっかり恋にはまってしまっていた。
< 6 / 12 >

この作品をシェア

pagetop