放浪者の恋-single planet-

4.

このまま彼を愛して、わたしが50歳になったときに、彼のそばでちゃんとその死を見つめていられるだろうか?

なんか、これは、わたしの人生のテーマだ、と突然思った。

だから、むしろ、これが幸せ…そうなんだ、と思った。


「20 年も、いっしょにいられたらいいんじゃない」

気楽な口調で親友が言う。

「だって、人間なんて、あした死ぬかもしれないし。きょうこも、そう言ってなかったっけ。」

そうだ。

そうだった、彼が仕事でパリに行ってしまい、やっと友人になれそめを話したりする時間ができた私は、彼と出会ってからの二週間くらいで忘れてしまっていた自分の過去の発言がたくさんあることに、気づきはじめた。

恋の毒に侵されすぎているなあ、と思う。

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