ピンチヒッター
へ?

「ちょっと待って。
今までは・・・・・・」

「打てなかっただろうな。
だってコイツは、どんな球に対しても140キロの球を打つタイミングでしかバットを振ってなかったんだからな」

桜庭亮が真剣な表情に変わった

「・・・・・・どういうこと?」

「そのままの意味だよ。
スイングは一流だが、タイミングの取り方がド下手だった。中学で140キロ投げられる奴なんていないからな。
結果が出ないのは当然さ」

「だから俺は亮の球を打てたんだよ。
いや、あの時は亮の球しか打てなかったんだ」

正太はあの日を思い出すように言った

「気付いてからは大変だったぜ。
ま、苦労の甲斐あって、
一流の打者が完成したけどな」

桜庭亮は凄く嬉しそうだった
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