ピンチヒッター
「うちのチームは亮を中心にして相手を最小得点に抑える野球をするんだ。
そんな中に俺がいたら、
足を引っ張るだけじゃなくて、
ムードを悪くするかもしれないからな」

「正太・・・・・・」

「ま、全部亮の受け売りだけどな」

苦笑する正太の横で桜庭亮は満足気に頷く

「コイツ、“男はバットで稼ぐもんだ!”
とかわけのわからんこと言いやがるから、説教してやったんだ」

正太、そんなこと言いそうだなぁ

「そもそも代打は悪いもんじゃないんだ。
ここぞっていう場面で打席に立てるし。
何より自分が必要とされてるって実感が湧いて、嬉しいんだ」

そう言って正太は笑った

そっか

こんな風にチームから必要とされるのって初めてだもんね

よかったね、正太

「おいおい、
“守備上手くなってレギュラーぶんどってやる!”ってくらい言えないのかよ」

桜庭亮は呆れたように言う

「だって、守備練習楽しくないし・・・・・・」

「お前、まだ言うか!」

桜庭亮は正太の首を絞めた

「や、やめろ!ぐるじぃ・・・・・・」

じゃれ合ってる二人はホント楽しそう


まもなく正太は意識を失った

「って正太!大丈夫、ねえ!
ちょっと桜庭亮、あんた手加減しなさいよ!」

「悪い。力入れすぎた・・・・・・」

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