ピンチヒッター
二人になった帰り道

正太は無言だった

「ねぇ、もっと喜ばないの?」

「あ、ああ」

「ホームラン、打ったんだよ?」

「そうだな」

正太は素っ気なかった

「どうかした?」

「・・・・・・俺さ、亮と出会って、
あいつと色々話して、
ちゃんと考えるようになったんだ。
チームが勝つにはどうすればいいか、
俺には何ができるのかって」

「うん」

「俺に求められているのは、
試合を決める一打だ。
でも、チャンスは一回だけ・・・・・・」

「うん」

「今日は上手くいっても、
次はダメかもしれない。
次も確実に打てるように、
もっともっと
上手くならなきゃいけないんだ。
だからこの程度ではしゃいでられないよ」


あたしの知らないところで、

正太はどんどん変わっていくなぁ

「進歩したね~。紅白戦でホームラン打った時とは大違いじゃん」

「あれはあれで特別だよ。
あの時は、心が折れかけてたからな」
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