変愛事情
いつの間にか
周りの教室には
もう人の姿はない


遠くから
経音部の
ドラムの音が聞こえてくる


沙織は
この積み上げられていく
感情に
少しずつ気が付き始めていた


静かな空間に
二人の
笑い声が広がる



その笑いを
断ち切るように
健人が小さく
はぁ~とため息をついた



「何かさぁ~
 久しぶりじゃねぇ?」


「えっ?!」


「こうやって
 まともに話すの…」

「…うん。そうだね」


「あれだょな
 席替え!!
 席離れたからだよな」


「…だからだね」


「…」


「…」


「…たかが
 2週間くらいなのに
 …ちょっと緊張してるかも(笑)」

そう言って健人は
自分の足元を見た



どんな顔で話しているのだろう
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