うしろの猫
早智子と、いじめという言葉に一瞬反応した3人だったがすぐに茶化すように少女に向かって敵意のこもる言葉を投げ返す。


「なに?あんた早智子のダチなの?」


「話しの中に、いきなり早智子なんて名前が出てきたから変だと思ったんだ」


「でも、あたしらも中一の時から早智子と一緒だったけど、こんな子知らないよ?」


「だね。わたしも一度も早智子といるとこ見たこと無いよ?」



少女は、相変わらず冷めたい視線で彼女らを見つめながら、自分と早智子のいきさつを説明する。


「わたしと早智子ちゃんは友達よ。わたしは事件の後、お父さんの仕事の都合で転校してしまったけど、夏休みを利用して3年ぶりに戻ってきたのよ。」


「なるほどね。それであんたは、回りくどい作り話の怪談を聞かせて早智子をいじめるなと言いに来たって訳だ!」


3人の表情が卑しく醜いものになっていく。


「あたしら、いじめなんてしてないよ」


「そうそう、早智子は、わたしらの友達だしね」


「誰も相手にしてくれない、可哀想なあの子を仲間にしてあげているんだから」




「嘘!」




突然、耳に響くような少女の言葉が3人を沈黙させる。


少女の視線は、先ほどまでの冷たい視線で無く、敵意のこもった強い視線であった。


「いじめをしてないのも嘘!」


「友達というのも嘘!」


「誰も相手にさせないようにしたのは、あなたたち!」


少女の敵意の視線と激しい言葉の気迫に驚く3人。


「なっ!なんなのよ、あんたは!」


かろうじて、リーダー各の少女が言い返すが、再び睨みつけられると沈黙してしまった。


それほど少女の視線には力がある、まるで獣のような視線に・・・
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