うしろの猫
「早智子ちゃん、そのストラップ覚えている?」


「えっ?」


早智子は、ストラップの赤い猫を見つめて考えた。



「あっ!あの時の」



早智子ちゃんは、わたしの方を見て、戸惑う表情になった。


「こ、このストラップは大切な物じゃないの?」



「大切だよ。わたしの大切なストラップだからこそ早智子ちゃんに持っていてほしいのよ」



わたしは、躊躇している早智子ちゃんに力強く言った。



「そのストラップはね、ずっとわたしを守ってくれたの。だから今度は早智子ちゃんのためのお守りにしてほしいの」


「わたしのお守りに・・・?」


「そう、お守りにね。その赤い猫は、いつでも早智子ちゃんを守ってくれる心強い味方になるのよ!」


「この赤い猫が味方・・・?」



「早智子ちゃんが、苦しい時には必ずその赤い猫が助けてくれるからね」



「助けてくれるの・・・?」



「うん、早智子ちゃんが負けない!と思ったらね」


「わたしが、負けないと思ったら・・・?」


早智子は、反対側で自分達を睨みつけている3人に視線を向ける。


しかし、目が会うと慌てて視線を伏せてしまった。



「早智子ちゃん大丈夫!赤い猫は、必ず早智子ちゃんを助けてくれるよ!」


「でも・・・」



「早智子ちゃん、お願いだから信じて!」



早智子ちゃんは、しばらく沈黙した後、精一杯の笑顔をわたしに向けて言った。



「うん、信じるよ!この赤い猫ちゃんが必ずわたしを助けてくれるて・・・」

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