うしろの猫
・・・さすがに、わたしも怖くなってきたのね・・・

だからもう、いじめっこのうしろをついていくのは、やめようかと思ったの。


でもね・・・ほら、怖いもの見たさてあるでしょ?


あの黒い猫は、いったい何匹まで増えていくのか?


どうして、いじめっこのうしろをついて行くのか?


どうして、いじめっこは気づかないのか?


このたくさんの疑問を知りたいと思う誘惑に、わたし勝てなかったの・・・


それからは、その黒い猫たちのことを観察し続けたわ。


毎日、毎日、雨の日も、風の日もね。


・・・それでね・・・


・・・わたし、気づいたの・・・


・・・いじめっこのうしろをついていく、黒い猫たちは・・・


・・・わたしにしか見えないってことにね・・・


どうして、わたしにしか見えないことが解ったのか知りたい?


それはね、いじめっこのうしろの黒い猫が82匹になったときの事なのよ。


いつものように、わたしは藪の中で、いじめっこを待ち伏せしていたのね。

いじめっこは、いつものように大勢の黒い猫たちを引き連れて、こちらに向かって歩いてきたわ。


そしたらね・・・いじめっこの進行方向から1台の車が来たの!


その道では、めったに来ない車がやってきたの!

わたしと、いじめっこが帰宅に使っている道は、裏山の舗装もされていない、

1本道で、学校の裏門にしか行けない道なのね。

だから、車が来ることなんてほとんど無かったの。

だけど、その日は来ちゃったの!

車は、どんどん、いじめっこのほうへ向かって走ってくるの!


「あっ!あぶない!」


わたし思わず藪の中から、心の中で叫んだわ!


・・・だって、だってね!


いじめっこのうしろには、道いっぱいに広がった82匹の黒い猫たちがいるから。

・・・わたし思ったの・・・!

このままだと黒い猫たちが、車に弾き潰されてしまうとね!
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