うしろの猫
・・・でもね・・・


・・・でも・・・


違ったの・・・!


車が来て、いじめっこは道の端に移動して避けたけど・・・


・・・82匹の黒い猫たちはね・・・なぜか車を避けないの!


それどころか何事も無いように、いじめっこのうしろにいるのよ!


・・・どうして・・・?

わたしが、そう思っている間にも、車は近づいてきたわ!



「あっー!」



私が、そう思った瞬間、車は黒い猫たちの集団の中に突っ込んで行ってしまったの!


まったくブレーキもかけず、速度も落とさずにね。


わたし、目をふさぐ時間も無く黒い猫がひき潰されていく光景を見てしまった・・・


・・・ぐちゃぐちゃにひき潰されるところを・・・


・・・残酷な場面を・・・


・・・そう見えたと思ったの・・・


・・・でも、違うの・・・


・・・違ったのよ・・・



なぜか黒い猫たちは、1匹もひき潰されなかったわ?


たしかに、車は道いっぱいにいた黒い猫たちの集団の中に突入したのに・・・


わたし、藪の中から見ていたから間違いないのに・・・?


・・・でも、でもね・・・


車は、黒い猫たちの中を走り抜けて、そのまま行っちゃったのよ・・・!


黒い猫たちもね、またいじめっこのうしろをついて行くの?



・・・何事もなかったように・・・?
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