雨夜の月

‥心のパズル‥

体育大会の朝。

玄関を出て見上げた空は、真っ青で透き通っていた。


嵐、おめでとう。


そう呟いて、学校へ向かった。


途中で千里と合流して、彼女に怪しまれないようにと、2人で用意した嵐のプレゼントを確認した。


「嵐、驚くだろうね」


千里が意地悪な笑みを浮かべる。


「まさか、私たちからプレゼントなんて」




思い浮かべるのは嵐の顔。

特別な立場から、特別なことはできないけれど、それでも構わなかった。


ふと、思った。

「私って嫌な性格だね」


千里から笑顔が剥がれた。

「急に…どしたの…?」


「私が彼女の立場なら、私みたいな女、絶対嫌だもん」

「そうね…確かにそうだね。でも、私は美月の友達だから、美月が泣くのは一番ツライよ」

千里は、そっと手を繋いで笑った。


「悪いことって、自覚してるだけでも上等じゃん?」

「上等って…」

「別に奪うわけじゃないし、奪ったわけじゃないし」

「……」



それは大いに言い訳。



だけど、その通り。



「もう美月ッ!!考えちゃダメだって!!」


黙って笑ってみた。


千里は安心したようだが、彼女に会うのが嫌で仕方なかった。



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