雨夜の月
学校に着いて、教室で先生が来るのを待っていた。

机に頬杖ついて、本当は繋がっている嵐のことを考えた。



同じ学校にいるのに、会いたい。

探せば、きっとすぐに見つかるのに動けない。



先生がやって来て、騒々しい空間を鎮めた。

「ひとーつ!!ルール違反はするな!!」



もうやってる私。



「ひとーつ!!1位を狙え!!」



なれないし私。





そして、全て嵐に繋がる心。

何を見ても、何を聞いても、嵐のことしか浮かばない。



「もう、爆発寸前ね」



グランドの木陰で、自分の出番まで太陽を避けていた。

足元の土に、円を描いては消す私に、一番ハマる言葉を千里が言った。



「爆発なんてしない」



唇を噛み締めた私の頭を、大きな手が揺さぶった。


「なに駄々こねてんだ?」

「嵐!!」

「自分のクラス応援しろよな」

「暑いんだもん」

「じゃ、俺の応援しろ」




マイペース男。
強気男。
傲慢男。

人の気も知らないで、嵐は笑う。



「今日、俺誕生日だから、お前の携帯教えろよ」



涙が瞼に集中する。

我慢するのに精一杯で、声が出せない。


「私がメールで送っとくよ」


千里のナイスフォロー。


『うんうん!!』

と相槌だけ強く打って、嵐の言葉に答えた。



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