雨夜の月
私たちは、嵐にプレゼントを渡す機会をうかがっていた。
本当なら、そんなこと気にせずにいて良い筈なのに、彼女に誤解されたくなくて変な行動になる。
隠れて渡す程、誤解を招くと分かっていても、正々堂々とはいかなかった。
お昼休みも終わり、また木陰で時間を潰した。
嵐の走るリレーは最後なので、それまでは暇なのだ。
「眠くなってきたよ」
そう言って目を閉じた千里を見て、視線を空に移した。
日差しは夏の名残りを引きずっているのに、空は秋の気配を見せていた。
薄く伸びた飛行機雲が、尻尾から消えていく。
「美月」
千里は目を閉じたまま言った。
「んー?どした?」
「私はね、美月だから応援するの。例え彼女側から見て間違っていても、私は美月の友達だから」
「私でも同じことするよ。千里なら同じ場所にいてあげたい」
「言ってね、できることがあるなら。私にしかできないことがあるって思ってるから」
「千里も言ってね」
笑いながら千里に視線を戻すと、千里も笑って私を見ていた。
二人で立ち上がり、どちらからともなく繋いだ手は温かく、とても信頼に満ち溢れていた。
この友に会えたことを誇りに思う。
千里が苦しい時は、私が千里の手を引こう。
席に戻って、嵐の出る種目までクラスの応援をした。
二つ隣のクラスからの、彼女の視線に気付くこともなく。
本当なら、そんなこと気にせずにいて良い筈なのに、彼女に誤解されたくなくて変な行動になる。
隠れて渡す程、誤解を招くと分かっていても、正々堂々とはいかなかった。
お昼休みも終わり、また木陰で時間を潰した。
嵐の走るリレーは最後なので、それまでは暇なのだ。
「眠くなってきたよ」
そう言って目を閉じた千里を見て、視線を空に移した。
日差しは夏の名残りを引きずっているのに、空は秋の気配を見せていた。
薄く伸びた飛行機雲が、尻尾から消えていく。
「美月」
千里は目を閉じたまま言った。
「んー?どした?」
「私はね、美月だから応援するの。例え彼女側から見て間違っていても、私は美月の友達だから」
「私でも同じことするよ。千里なら同じ場所にいてあげたい」
「言ってね、できることがあるなら。私にしかできないことがあるって思ってるから」
「千里も言ってね」
笑いながら千里に視線を戻すと、千里も笑って私を見ていた。
二人で立ち上がり、どちらからともなく繋いだ手は温かく、とても信頼に満ち溢れていた。
この友に会えたことを誇りに思う。
千里が苦しい時は、私が千里の手を引こう。
席に戻って、嵐の出る種目までクラスの応援をした。
二つ隣のクラスからの、彼女の視線に気付くこともなく。