流れ星との約束
「よし、甲子園に行こう」
 
 
 不意に遥斗が呟いたからか、光も宗も遥斗の顔を覗き込んだ。
 
 
「電車で?」
 
「違うわ。そういう意味じゃなくて……」
 
「車で? たしか甲子園って車で行ったらあかんかった気が……」
 
 
 光に続き宗までも自分を馬鹿にするような言い方をするので、遥斗はわざとらしくため息をついた。
 
 
「野球でに決まってるやろ」
 
「野球部にも入らへんのに?」
 
「入るよ。もちろん」
 
 
 遥斗の返答が余程おかしかったのか、宗が急に立ち止まった。
 
 不思議に思い遥斗が後ろを向くと、宗は自分が立ち止まったことに今気がついたかのように慌てて小走りで遥斗の隣に戻ってきた。
 
 
「どうしてん。宗らしくないぞ」
 
「悪い。でもお前……甲子園やぞ。綾北は一度も出たことないんやぞ?」
 
「まあでも約束しちゃったみたいやし。なんとかなるって」
 
「なんとかってなあ……」
 
 
 なおも言葉を続けようとした宗の口を押さえたのは光だった。その後、彼女は両手を合わせて軽く頭を下げた。
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