流れ星との約束
「生まれて初めて、遥斗がやる気を出してん。お願い。黙って野球部に入れたって」
 
「いや、まあ……入部許可すんのは俺やないし。それにやるからには甲子園目指すんが普通やしな」
 
「ホンマ!? 遥斗、良かったやん!」
 
 
 宗の言葉を聞いて、光はまるで子供のように喜んだ。遥斗は色々と言いたいこともあったが、光が喜んでいるので黙っておいた。
 
 野球部に入るくらいでこんなに喜ばれるなら、中学のときから入っとけば良かったと、遥斗はひどく後悔している。
 
 
「私もマネージャーやろっかな」
 
「は? ……何でまた」
 
 
 いきなり光が言ったので遥斗は声が裏返ってしまったが、慌てていつもの声に戻した。
 
 光は中学一年のときから吹奏楽をしていて、高校に入っても続けたいと話していたのを遥斗は以前に聞いていた。
 
 
「何でって……遥斗が野球部に入るから」
 
「でも、吹奏楽は……」
 
「ヨシムネってキャッチャーやんな? 遥斗の指導よろしく」
 
 
 そんな簡単に決めてしまっていいのかと遥斗はさらに聞きたかったが、スルーされてしまったので言いそびれてしまった。
 
 
「教えんのは構わんけど、もしかして遥斗、投手やるつもり?」
 
「もちろん」遥斗はすぐに答えた。
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