流れ星との約束
「珍しいな、宗。お前が感情的になるとか」
 
「うーん……、何でやろうな。まあお前は俺に昨日勝ったから、体力あるんは事実やし」
 
「あいつ嫌い。うちに彼氏いるかなんて関係ないやんな」
 
 
 帰りながら、安藤について話しながら3人は歩いていた。遥斗だけではなく、他の2人も彼に好意を持っていないことが分かったので、遥斗は少し楽になった。
 
 あの長髪で挑発的に人を見下す姿を思い出しただけで、嫌になる。
 
 
「遥斗、あいつには負けんなよ」
 
「せや。負けたらあかんで。今日ヨシムネに教えてもらうんやろ?」
 
「ああ。帰って着替えたらな」
 
 
 遥斗は今日、近所にある公園で宗にピッチング指導してもらう。彼の野球経験なんてキャッチボールくらいで、キャッチャーに向かって投げるというのは初めてだったので、少し楽しみだった。
 
 それに、明日には入部届を出す――母親の許可もとった――予定だ。少しでも上手くなっておきたいと思うのは、当然のことだった。
 
 しかし遥斗は少し思うことがあったので、足を止めて口を開いた。
 
 
「宗、お前の家にバリカンある?」
 
「あるけど……」
 
「練習の前に、貸してくれへん?」
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