流れ星との約束
4.素人の投球
「お前の頭を自分で見てみろ。どう思う?」
 
「すごく……後悔してます」
 
 
 深く考えてから行動しなければいけないと、宗に剃ってもらった自分の坊主頭を見ながら、遥斗は思った。
 
 時計を見ると、12時45分を指していた。あと15分で1時になる。
 
 
「遥斗、グラブ持ってないやろ?」
 
「ああ」
 
「分かった。中学のときに使ってた内野手用グラブ貸すわ。いいやろ?」
 
「もちろん。早く行こうぜ」
 
 
 宗を促して、駆け足で武蔵公園へと向かった。宗の家からそこまでは、歩いて10分ほどかかるが、走ったため5分もかからずに着いた。
 
 
「遥斗、ちょっと下がって。まずキャッチボールからや」
 
 
 グラブを遥斗に渡しながら、宗が言った。遥斗は頷くと、後ろに5歩ほど下がった。
 
 遥斗が止まると、宗が軽くボールを投げてきた。いつも遥斗は、軟式ボールでしかキャッチボールをしていなかったので少し緊張していたが、硬式ボールも普通に捕れたので少し安心した。
 
 
「そのグラブは軟式用やから俺は軽く投げるけど、遥斗は普通に投げろよ。
 でも、肩が出来るまで本気では投げんでいい。軽くな」
 
 
 遥斗は頷きながら、ボールを投げ返した。
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