流れ星との約束
 安藤へ返されるボールを見ながら、小沢昇平は先ほどの投球を脳の中で再生した。比較的甘い球だったが、彼は全く打とうとしなかった。苦手なコースだったからだ。
 
 1年生のボールなので何でも打てば良いのかもしれないが、明後日には春季大会が控えている。ここで自分のスイングを崩すのは避けたかった。
 
 バッテリーのサイン交換が終了したのか、安藤がもう振りかぶっている。そしてすぐに第2球目が投じられた。
 
――低い……
 
 昇平の判断通り、ボールはホームベースの手前でワンバウンドした。キャッチャーの吉田が体を張ってボールを止める。もちろん2塁ランナーの林は動けない。
 
 今のはカーブだろうか。ボールのキレは、1年生としては十分だと昇平は感じた。
 
 第3球目をカーブだった。これも外角に外れる。カウントは1ストライク 2ボールになった。
 
 次はストレートだろうか。1球目に見たストレートの軌道を、再び頭の中で再生する。打てる。
 
 セットポジションから安藤が第4球目を投じた。
 
――ストレート、もーらい!
 
 昇平は口元を緩めると、高めのボール目掛けフルスイングした。
< 69 / 77 >

この作品をシェア

pagetop