流れ星との約束
 ランナーコーチがグルグルと腕を回しているのを見て、吉田宗は3塁ベースを蹴ると、迷わずホームベースへ向かって走った。
 
 視線を左に向けて打球を確認すると、それはちょうど二遊間を抜けたところだった。余裕で生還できるだろう。
 
 しかし、宗は顔をホームベースへと戻すと、これまで通り全力で走りつづけた。いくら余裕だからといって、力を抜く必要はない。それに、遥斗が自分たちの走りを参考にするのだ。下手な走塁はできない。
 
 もし、先制点をこのまま取ることができれば、この試合で勝つ可能性も見えてくる。
 
 上級生から点を奪ったことで1年生チームには勢いが生まれ、下級生に点を許したことで2年生チームには焦りが生まれる。
 
 野球において、初回の攻防というのはかなり重要だ。試合の流れにおいて、およそ四割を占めるといっても過言ではない。それは、この試合でも同じだった。
 
 
 
 
 宗がホームベースまで残り10mという所まで走ったとき、急にどよめきが聞こえた。刹那、小畑のミットにボールが収まった。
 
 
「なっ……」
 
 
 慌てて宗は回り込もうとしたが、彼がベースに触れる前に、小畑のミットが宗に触れた。
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