あたしの執事
『玲と別れてほしいの』

容易に想像できるのはこの言葉だけ。妙な沈黙。行き詰ったあたし。

梓さんはすうっと息を吐くとこう言った。


「私の親を説得して欲しいの。私を助けて欲しいの!」


唐突だった。その頼みにあたしはなんて間抜けな反応…


「………え!?でも、現にあたしと梓さんは今日会ったばっかりじゃ…」

「そんなのアナタとあたしが友達になれば解決する問題でしょ!ね?お願い。学校も同じなんだし。そのよしみでさぁ」

「学校が同じ!?梓さんと」

今更気づく自分につくづく呆れがさした。そういえば、同じクラスに天川梓という名前が、あったような…

天川…梓?


「ミス白菊か!」


部屋の中にあたしの声が木霊する。思わず指まで指してしまった。


「あっらぁご存知なの。光栄だわぁ。そうよ、私がミス白菊よ」
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