あたしの執事
過去のことと言えども、こんな美人と…あの性悪男が付き合っていただなんて…


「でも、協力するっつったって…何をすればいいのかあたしにも…」


悩み俯くあたしに、にやりと微笑む梓さん。


「千秋ちゃん、あの玲をいつもこてんぱんにしてんだって?」

「え、別にこてんぱんっていう訳でもないんですけど…」


何処からそんな情報が流通しているのだろうか…


「その意気に私、感動しちゃってさ。まさか、あの俺様がやられるなんてってね」


こてんぱんにされているのは、あたしの方だ!と心の中で叫ぶ。


「だから、その計らいを私の親にもぶつけて欲しいのよ。どーんとね!どーんと」

「…あ、あの」

「自信持って!アナタは十分、魅力ある人よ」


魅力があるとかないとかの問題ではない。あたしは粋な計らいもなければ、こてんぱんにする気力もない。

そう言いたいのは山々なんだが…


「よぉーしッ!強い味方が付いたわね!これで一安心だわ。じゃあ私、そろそろ帰るわね」
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