あたしの執事
上級試験…?さすが金持ちだ。やることが違う。


「そ、そりゃあもう!ペ、ペラペラで驚いちゃいました…!なはは」

「…っく」


如月が静かに笑う。嘘で塗り固められたこの真実を、叔母さんに語るのは、すごく胸が苦しかった。


「そういえば玲。アナタ、バスケットボールも出来たわよね。今度千秋ちゃんに、教えて差し上げたら?」

「うぇ!?いいです!あたし、その…運動音痴ですし…っその、如月さんにも迷惑かけますから」

「心配なさらないでください、千秋様。基礎からお教え致しますので」


如月の完璧な微笑みが、あたしにはすごく怖かった。


「良かったわね。千秋ちゃん」


叔母さんから最後の追い込みをかけられ、あたしは渋々頷く。


「は…はは」


神様…千秋は不可解なこの生活に悲しすぎて、涙も出ません。


「そろそろ冷え込みますので、中に入りましょう」

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