Bloody Kiss
狩人が持つ武器は対バケモノ用に様々な細工が施されている。そしてその武器を作れるのは協会の管轄下にある一社、シルバークロス社だけ。
彼の持っている銃にもシルバークロス社の印であるツタの絡まった十字架の模様が刻まれている。

「まだ狩人としての経験は浅く、初期のバケモノを見たのは初めて。そうだろ?」

「……」

何も答えられなかった。確かに私は経験が浅い。それどころか狩人としては半人前だ。だっていつも恢の援護だけで、一人でバケモノと対峙したことはないから。それに、獣の形をしたバケモノしか相手にしたことがない。さっきのアレみたいな、ヒトのような形をしたバケモノが存在ことすら知らなかった。

「図星、か」

彼は銃を仕舞いながら、背を向けてアレが倒れている場所へ向かう。私は立ち尽くしたまま、彼を目で追う。

バケモノの傍らにしゃがみこんだ彼は、バケモノを観察している。

彼の後ろからそっと覗き込む。ソレはもう全体が結晶化し、一部は塵にになっている。

「塵……。バケモノと、同じ?」

バケモノは致命傷を受けると結晶化し、塵になって消える。それがバケモノの死。

「そう。形は違っても同じバケモノだ」

彼はそう言いながら、かつてヒトの形をしていたモノの欠片をつまみ上げた。途端に無数の罅が入り、塵となってこぼれ落ちる。

アレもバケモノだとしたら、バケモノって一体何?
私はバケモノとは、吸血鬼に血を与えられた獣だと教えられた。今までだって、獣の形をしたバケモノしか見たことがない。

「……まさか!」

考えを巡らせているうちに一つの答えに行き着いた。

「アレは、吸血鬼の血を与えられた、人間?」



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