Bloody Kiss
振り向いた彼から怪訝そうな目を向けされる。

「あの……」

「君は本当に狩人?」

愛想の良い好青年からは想像もできないような鋭い視線に怯んでしまいそうになる。

「俺達がバケモノと呼んでいるモノは、吸血鬼の血に蝕まれた元人間。それは狩人の基礎知識で、狩人の武器を持つ者なら知らないはずがない」

明確な敵意を含んだ視線が突き刺さる。

「私は……」

それ以上は言えずに彼から視線を逸らす。

言えない。
違う。
言うことができない。

狩人になる手続きは全て恢が済ませてくれたから。私は協会本部の場所すら知らない。
そんな人間を本当に狩人と呼べるのだろうか。

その時、カチャリという音が響いた。

視線を戻すと、彼は殺意を滲ませて銃を構えていた。
銃口は私に向けられている。

「……っ」

衝撃的な展開に息を飲む。

対バケモノ用と言っても銃であることに変わりはない。むしろ一般に出回っているものより威力は高い。

「……!」

この状況をなんとかしようと、口を開いた瞬間、大きな影によって視界が遮られた。

「恢!」

それは見慣れた後ろ姿だった。
黒い外套に白銀の髪。間違いなく恢だ。
ただ一つ気になることがある。100㎞を全力疾走したとしても息を乱すことのない恢が珍しく肩で息をしている。

「恢……?」

手を伸ばし恢の背中に触れると、何かヌルッとしたものが手に付いた。

「これ……」

それは血だった。



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