Bloody Kiss
「やあ」

食後にコーヒーを飲んでいると、誰かに声を掛けられた。
そいつは私の了承を得ることなく目の前の席に座る。

「……」

「今日は一人なんだね」

こっちは敵意を剥き出しにしてるっていうのに、そいつは愛想良く笑っている。無駄に爽やかな笑顔が頭にくる。

「……誰かさんが痛めつけてくれたからね」

皮肉を込めて笑顔で答える。

「止めを刺さなかっただけ有り難いと思ってもらいたいな」

一瞬目の前の好青年、昨日の狩人にコーヒーをお見舞いしてやろうかという衝動に駆られたけど、なんとか押さえ込んだ。
冷静さを取り戻すために、カップに残っていたコーヒーを胃に流し込む。

「で、何か用?」

カップをソーサーに戻しながら狩人の青年に問い掛ける。

「これを渡そうと思ってね」

青年はそう言って小さな布製の袋をテーブルの上に置いた。聞き覚えのあるジャラジャラという金属がぶつかる音と、袋の大きさやシルエットから考えて、中身は硬貨だろう。

「……慰謝料のつもり?」

「まあ、そんなとこ。勿論君を負傷させたことに対しての謝罪の気持ちだよ。間違ってもあの吸血鬼に対してじゃない」



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